この仏像は祖母から受け継いだもので、祖母がまだ若かった頃に祖母の生き方の指針を示してくださった大切な像です。 とても優しいお顔で、いつも一族を見守ってくれていました。 大きさは60センチほどです。 祖母は不思議な力のある家系に生まれ、皆に見えないものやきこえない声を絶えず聞いていましたが、一時期その事に疑問を抱いて早々に結婚を決め家を出ていきました。 ところが、嫁ぎ先で商売相手に土地、家屋を騙しとられて荒れ果てた二束三文の山だけが残り、そこにある納屋で祖父とともに暮らしていたそうです。 その時に以前馬小屋だった納屋の2階でこの仏像を見つけて、ほこりを払い、大切に飾っていました。 ある時、仏像の右手の指が傷んでいることに気がつき祖父と一緒に補修すると、しばらくして山の裾に道路が通ることとなり、何の価値もなかった山が驚くような値段で売れました。 祖母は、この観音像が力を貸してくださったといつも言っていました。 この出来事で祖母は自分の力は自分だけの物ではない、人の役に立つようにと知らせるために観音様が道を示してくれたと確信して、 その後は、祖父と共にこちらの家に戻り、共に皆様の助けになれるよう励んでいました。 祖父は元々は見たり感じたりはできない、信じていない人だったようですが、祖母とともに各所を訪れたり、修行に参加するうちに少しずつ力を付けることに成功して、その後は祖母と二人三脚で生涯を歩んでおりました。 そんな大切な仏像なのですが、いつの間にか左手の指が欠損していることに先日気がつきました。それを祖父よりの旅立の言葉と受けましたので、必要とされる方にお譲りしたいと思います。 是非指を修復して大事になさってください。 必ず指の補修をしてくださる方、しまいこまず世界が見える場所に飾って下さる方にお迎えいただきたいです。