藤原 建 作　備前焼徳利 豪放と緻密さを併せ持つ名工、藤原 建の備前焼徳利。緋襷の月のように丸みを持つ景色が印象的。良い色合いを出すのが非常に難しいとされる緋襷と胡麻の両立が見事に成し遂げられています。すっと立ち上がった首が丸みのある優しい蕪型を引き締めて面白い緩急です。師である人間国宝・金重陶陽を彷彿とさせるきめ細かで柔らかな味わいを持った作品です。 藤原啓を叔父に持ち、岡山県重要無形文化財保侍者となった事で著名ですが、伝統的な備前焼をモダンな姿へと昇華させる現代的な作家でもあった事が知られています。 艶やかなイメージでありながら、備前の持つ独特な自然の表情を加え、炎が作る偶然の美しさをギリギリまで追求。胡麻と土味というシンプルな作りでありながらも絶妙なバランスを生み出してます。その一分の狂いも無いような美しく滑らかなフォルムは、名陶を思わせる技術の高さを感じさせます。 叔父の人間国宝・藤原 啓のもとで陶芸を始め、金重陶陽にも師事。その後、北大路魯山人のもとで食器の技術を学び、1956年に独立して築窯。以後各種展覧会に連続入選。1973年に県指定重要無形文化財保持者となり、また勲五等瑞宝章を受章。次代を背負う備前の指導者として期待されていましたが、53才の若さで逝去。その才能を惜しまれています。 共箱　しおり有り 口縁3.1×胴径9.0×高さ12.5cm　 未使用で飾っていましたので良い状態です。